2020.06.24
体験レポート|CTOの悩みを語る会
先日2020年5月28日(木)に行われましたオンラインセミナー「CTOの悩みを語る会」の体験レポートです。
登壇者自己紹介
ユニファ株式会社 取締役 CTO
2015年にユニファ東京オフィスの立ち上げ時に1人目のエンジニアとして入社。
ユニファの開発体制を構築し、様々な新規サービスの立ち上げにも関与。
現在はCTOとしてシステム開発チームを統括。
また、外国人エンジニアも積極的に採用し、現在10を超える国籍のエンジニアのマネジメントも担う。
当部署では原則、6月はリモートワークを継続予定。7月以降は検討予定。
今日の一言:悩みを語る会なので、私の悩みもお話ししますが皆さんの悩みも聞けるとうれしいです。
FISM株式会社 取締役 CTO /企画開発部長
大学在学中からインターンシップとしてサイバーエージェントに参画。
卒業後もサイバーエージェントに新卒入社し、エンジニアとして活躍。
その後、コーチユナイテッドにてCytaの開発に従事する。
フリーランスとして独立し、オプトのアドテクノロジー開発に参画。
2017年、FISMに入社し、CTO/企画開発部長に就任。
フリーランス含め10人ほどのチームをまとめる。
今日の一言:もともとリモートワークを行っていなかったが、週2、3日リモートを取り入れた。
緊急事態宣言解除後、出勤し始めたが、時間も考慮したうえでの生産性なので、通勤時間を考えると検討の余地あり。
コデアル株式会社 CEO
働くをもっと自由に。
即戦力エンジニア採用のプラットフォーム「CODEAL( http://codeal.work )」運営。
エンジニアの登録7割、リモートワーク中心の2000件の求人を取り扱ってます。
今日の一言:もともとエンジニアですがCTOではなくCEOという逆の立場からやり取りが大変なところなど、逆にCTOに対面する立場から僭越ながら話せたらと思っています。
CEO他、経営陣とのやり取りについて
愛宕)今の環境下で役員と予算や働き方について、どんなやりとりしました?
赤沼)緊急事態宣言後は原則リモートにしないといけないとなり、ビジネスサイドのメンバーとしては生産性が下がる可能性があると感じていました。
他の役員からは、エンジニアは大丈夫って言っているけど、本当に大丈夫?という懸念はありました。
愛宕)役員に対する生産性の説明はどのようにしていたのですか?
赤沼)開発メンバー内で話すのであれば生産性は理解できるけれど、統一指標がありませんでした。
エンジニア、デザイナー、インフラエンジニアは、それぞれどうする?という悩みがあります。
スクラムで回しているので、ベロシティを見ていくと分かるけれど、横断的に関わる生産性をどうみるかが難しい。
今後はJIRAのチケット利用状況や、プルリクどれくらい出しているかとか、Confluenceのアウトプットなど複合的に見ていく必要があると考えています。
愛宕)役員もエンジニア出身であれば指標も分かるかもしれないけれど、全く違う基準から言われたら分かりにくいですよね。
評価と査定を出すと、より難しくなる感覚はあります。
赤沼)生産性は落ちてないと言えますが、ビジネスサイドへの指標はまだ分かってないですね。
個人としては内容を見ていくしかないと考えています。
経営陣には計測している数字を提示して定量化している事を言うしかないと考えています。
愛宕)大橋さんは、どうですか?
大橋)まずは想定される可能性の話をしています。
弊社の代表はビジョンから考える方なので、将来新しい働き方になることを予測して、自分たちが新型コロナウィルスが終息した時に何をしたらいいのか?今後どうしていきたいのか?という具体的なシュミレーションをしています。
愛宕)大橋さんに聞きたいのですが、あえてオフィス出勤に戻っているということですが、オンラインとオフラインの使い分けについて聞かせてもらえますか?
大橋)オフラインはコミュニケーションの場で、オンラインは決められた業務を個別の仕事場で、棲み分けしている。
リモートになって、コミュニケーションが減っていることが一番の課題です。
オフラインで上手くいったメンバーがオンラインでうまくいかなくなってしまったりとか、コミュニケーションの重要さを感じています。
愛宕)赤沼さんもありますか?
赤沼)雑談の機会が減っています。
オンラインで業務は回せますが、何気ない会話が減ってしまうので意識して持ちたいですね。
オンラインではホワイトボードでの効率性が再現できてない状況です。
海外のメンバーもいると言語の面でホワイトボードを活用する場面も多く、ボディーランゲージを加えながら伝えるほうが伝わるのでフルリモートがいいとは思ってはいないです。
必要に応じてオフラインで会いながら業務効率性はオンラインで、と考えています。
リモートワークでの使用ツールは?
愛宕)ホワイトボード活用はオフラインには勝てないですね。
ツールは何を使っていますか?
赤沼)いろいろ試していますが、G Suiteを使っているのもありGoogleのジャムボードが比較的使いやすいですね。
愛宕)マイクロソフトのホワイトボードは使ってみてよかったですね。付箋を貼ったりできますし。
大橋)フリーランスの方は、リモートワークではmiro(ミロ)を使っていました。
ペンダブを配布して使っていましたね。
赤沼)ホワイトボード系はiPadなり、ペンルーツがないとしんどいですね
愛宕)人によってツールの慣れの速さに違いがあって、開発チーム以外の部署ではツールになれるのに時間がかかる傾向がありますね。
エンジニアが他チームをフォローしていること多いですね。
赤沼)情報はTipsにまとめていたりしますね。
愛宕)Tipsにまとめていても、見る人によって、情報を取りに行く頻度が違うじゃないですか。
文章を書く、文章を読む、自分で情報を取りに行くことの得意不得意のギャップをまじますね
大橋)それでいうと教えるのが難しいですね。より自分から情報を取りに行かないといけない。
ジュニアエンジニアに対しては、オフィスにいたら開いている画面を覗いて教えることもできるけれど、リモートワークだと画面が見えないですからね。
相手から言ってくれない限り分からない。
自分から能動的に情報を取りに行かないといけないと思いますね。
自分の意識を変える必要がある。
愛宕)ジュニアエンジニアに近いスタッフは最近も採用されているのですか?
赤沼)もともと新卒は取ってないです。
採用も基本的には即戦力を採用している形です。
愛宕)ジュニアクラスの方もいるということで大橋さんの会社ではオフィス出勤の度合いも高めているのですね。
「スマート保育園®」、「ルクミー」サービスを提供するユニファ株式会社
リモートワークでのコミュニケーションの取り方
愛宕)弊社の開発チームで「つなぎっぱDAY」があります。
誰でも参加OKのzoomを1日解放して、無音だと寂しいのでラジオで音楽を流してカフェにいるような雰囲気にしています。
10時〜11時にビッククエリの解析講座をします、といったようなコンテンツも少し用意して新しい何かを伝える時にも活用していたり、出入り自由で、雑談などもしていますね。
大橋)雑談も起こるのですね。
愛宕)雑談を普段からしやすくすることで、出やすくなります。
マネージャー以上は、Slack上の個人の部屋で、業務とは関係ない趣味の投稿とかをしていますね。
そうするとメンバーも発信して雑談しやすくなる。
赤沼)発信を積極的にしたがる人、積極的じゃないタイプの違いがありますが、本人から情報を出してもらわないと取りにいけないので、マネージャーからメンバーに発信するよう投げかけています。
エンジニアの採用後の評価と査定の実施の仕方は?
赤沼)去年から、グレード性を導入しています。
エンジニアでいうと、何段階かの項目が複数あり、どこまで出来ているかを上長が判定して、どのくらいの能力があるか、アウトプットをどれくらい出せたか?を他のメンバーからの視点も入れてながら半期ごとに行っていますね。
工数がかかりますし、運用していく中での課題もありますから改善しながら進めています。
大橋)オブジェクト指向ができているなど、スキルチェックもあるのですか?
赤沼)抽象的な表記ですが現場の状況に合わせて◎◎ができているから、◎◎だね、といったように判断はできます。
開発チームの場合、毎週1on1をしているので、その中でメンバーとすり合わせしています。
愛宕)プロジェクトごとだと人件費高いじゃないですか。
役員に予算説明するとき、何を見せていますか?
赤沼)個別の報酬の説明はしてなくて、期初に年間の予算計画を決めて、事業計画にあわせてプロダクト計画があり、人員数が決まり、プロジェクト全体の費用を算出します。
その後期間含めて、経営会議にかけます。
愛宕)大橋さんはいかがですか?
大橋)基本的なことかもしれませんが、5W2H(When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How much(いくら)の7つ)で数値も含めて説明します。
愛宕)プロジェクト予算の削減はコロナ後ありますか?
大橋)弊社はないですね。必要なら出す、といった流れです。
赤沼)理想像はCEOが描き、事業の理想像を具体的なプロダクトに落とすときにCOO、CFOと話しながら進めています。
保育施設を対象にしているので、どう売っていくか?がかなり重要だと感じていますね。
それに応じてプロダクトも作っています。
様々なデータベースを使い最適なプロモーションを実施するFISM株式会社
エンジニア、デザイナー、ビジネス、部署間をまたいだコミュニケーション手法は?
赤沼)役員と話す場を週に1回置いて共有してもらっています。
大橋)プロダクトの方針としては、CEOとCTOで決めています。
僕から議題をあげて、形になったら役員会議で決裁とっています。
愛宕)ありがとうございます。
ここからは事前に#CTOの悩みを語る会でいただいていた質問にお答えしていきます。
フルリモートだとメンタルケアだ重要だと思うのですが、なにか実施していますか?
赤沼)1on1が役割として大きいと感じています。
メンバーの話したいことを話してもらっています。
クローズドな場で悩んでいることや、相談したいことを聞いています。
愛宕)1on1は、上長と部下の関係性により難しい場合もあると思いますが、そのあたりの工夫ありますか?
赤沼)体系だってはしてなくて、始めたころは私自身が全メンバーと毎週1on1していました。
人数が増えてから、マネージャーとメンバーでしていますね。
マネージャーたちは私がやっていた流れを実際に真似をして行っていると思います。
今後は本人たちの成長につながるようにしていきたいですね。
大橋)リモートになって、1on1やめてしまって。また始めたいなと感じています。
リアルで会えなくなった分、ケアが必要だと感じていますね。
愛宕)何を話せばいいかわからないエンジニアへ、1on1カードの利用をすすめたりしました。
現在の状況下で、マネージャークラスのエンジニアが転職するのはどういう理由なんでしょうか?
愛宕)コロナ状況下で、受け入れて大丈夫なのか不安という背景でしょうか。
コロナ環境下でも採用募集案件は動いています。
お二人の会社では採用現在動いていますか?
赤沼)弊社の場合ですとRubyエンジニアの採用が動いていて、マネージャーは欲しいですね。
動こうとしているきっかけは推測になりますがコロナの影響を直撃している業界かどうかが理由として大きいのではと感じています。
事業の継続が難しい等のケースがあると思います。
社内の動きとしてリモートを取り入れるかどうかなど、会社の対応方針が見えてくるのではないかと思うのですが、その時に個人の考えと会社の動きに不一致が見えてきたりすることも一因あるかもしれないですね。
愛宕)外部要因、会社の方針の違いで転職もあり、売り手市場だったところ、今まで出てこなかった人材が出てきそうですね。
大橋)弊社はこのタイミングで2名、いい人が来てくれました。
現在の状況はむしろチャンスだと感じて力をいれていますね。
リモートワーカーに必要な機材の補助はしていますか?
赤沼)ネットワークがなかったりする場合、モバイルWi-Fiを提供しています。
今後よりリモートに振っていくのであれば検討していこうと考えています。
通信量は大きいファイルのアップロードをすると、データコピーでつかってしまうことで、通信の速度制限などかかってしまうことありますね。
大橋)実は私の家が一番、環境悪くて。子供が二人いますので、イヤホンとマイクを購入しました。
ほかの人はみんな問題なかったですね。
現場のエンジニアとボードメンバーから望まれるCTO像はどのようなもの?
赤沼)ボードメンバーからは、経営に関するコミットやマネージメントを望まれます。
現場エンジニアからは、技術は尖っていて欲しいなどですね。昔から一緒にやってたメンバーはわたしが段階的に今の立場になったことを見ていますが、最近入社したメンバーは最初からマネージメントしている私しか見ていないので、技術面での要望はばらけるかなと思ってます。
大橋)この質問、一番好きですね。
そもそもCTOって何?というのもあると思うのですがフェーズや事業課題によると思っています。
前提としてCTOは事業課題がなにか?によるため、技術により事業がドライブするかどうかがあって、例えばグラフィックボードだと、技術に比重が高く、Webサービスだと、機械学習理解が多少で良かったりします。
技術課題が上がっている事業の場合はCTOの下にテックリードの人に入ってもらい、CTOは経営に専念し、生産量と資産をどれだけ見れているかが必要だと感じてますね。
根本的にCTOは尖ってなくてよくて、サービスがたくさんある中で1つ1つは分からなくてもいいけれど収益を出すかどうかをチェックするものだと考えています。
このあたり、ビズリーチ創業メンバーでもあるビジョナル株式会社CTOの竹内さんが書かれた内容が興味深いですよ。
経営と対話する時に、一番大変なところは?
大橋)代表が、技術に対して理解があるため、それほど大変とは感じないのですが5W2Hがしっかりする必要がありますね。
(When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How much(いくら)の7つ)
特に、この技術は将来会社のためになるから挑戦したいというコンセンサスを先に取る時に明確に説明します。
愛宕)挑戦など一種の遊びがないと、難しいですよね。後々、事業につながることもありますし。
赤沼)直接的に紐付かないところに、どう投資するかということは理解が多少得づらいです。
プロダクトマップギリギリの人数だと試すものも試せない。
計画が変更になると続けるしかなくなる時があります。
エンジニアの工数は理解してもらいやすいですが、デザイナーやQA、インフラエンジニアは、開発してない人からは必要性が理解してもらえないところは辛いところですね。
愛宕)インフラだと、止まった時に大事さに気づきますね。
普段から信頼の積み重ねが大事ですね。
質問の回答もできたところで本日は終了とさせていただきます。
今日は、みなさんご参加ありがとうございました!
語る会メンバー
赤沼 寛明
ユニファ株式会社 取締役 CTO
エムスリーやNubee Tokyoでの開発業務を経て、2015年にユニファ東京オフィスの立ち上げ時に入社。
ユニファの開発体制を構築し、様々な新規サービスの立ち上げにも関与。
現在はCTOとしてシステム開発チームを統括。
また、外国人エンジニアも積極的に採用し、現在10を超える国籍のエンジニアのマネジメントも担う。
Twitter:@akanuma
大橋一樹
FISM株式会社 取締役 CTO /企画開発部長
大学在学中からインターンシップとしてサイバーエージェントに参画。
卒業後もサイバーエージェントに新卒入社し、エンジニアとして活躍。
その後、コーチユナイテッドにてCytaの開発に従事する。
フリーランスとして独立し、オプトのアドテクノロジー開発に参画。
2017年、FISMに入社し、CTO/企画開発部長に就任。
Twitter:@kzkohashi
語る会ファシリテーター
愛宕 翔太
コデアル株式会社 CEO
働くをもっと自由に。
即戦力エンジニア採用のプラットフォーム「CODEAL( http://codeal.work )」運営。
Twitter( @shotaatago )、ブログ( https://note.mu/shotar )では、エンジニアの採用やリモートワークを支援するためのノウハウや日々の思いを発信中。
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