2025.09.11
SES企業様スタートアップ企業様向け エンジニア採用のプロに聞く最適な採用手法とは?

2023年11月設立。ソフトウェアの企画設計開発、コンサルティング、SES、IT分野におけるIT技術者の委託サービスを運営。前職は株式会社インテリジェンスにてキャリアアドバイザー・コンサルタントとして8,000名以上のエンジニアの就労支援を実施。スカウト返信率が50%以上と非常に高く、テックダイレクト利用開始から約2年間、継続して採用に成功し続けている
Q1. 採用手法には様々なものがありますが、それぞれどのような印象をお持ちで、実際に使ってみてどのような違いを感じられましたか?
採用手法は多岐にわたりますが、それぞれの特徴を理解した上で使い分けることが重要だと考えています。
- 求人媒体:初期投資がかかる割に成果が不透明な場合があります。特に私たちのような中小企業では、応募を待つだけでは中堅層の優秀なエンジニアと出会うのは難しいと感じています。また、応募後の選別や不採用通知の対応にも時間がかかります。
- 人材紹介(エージェント):経験豊富なエージェントがいれば非常に心強いですが、担当者によるサービスのばらつきが大きいのが課題です。担当者の異動があると、また一から関係を築き直す必要があり、期待通りの成果が得られないこともあります。費用面では成功報酬型もありますが、結局は担当者の質に左右される印象です。
- ダイレクトリクルーティング:私はダイレクトリクルーティングが最も効果的だと考えています。自分の言葉で、届けたい人に直接アプローチできる点が最大の魅力です。自社でコントロールできる部分が多いので、ミスマッチも減らせると感じています。
Q2. ダイレクトリクルーティングは工数がかかるというイメージがありますが、その点はいかがでしょうか?
確かに工数はかかりますが、それは「必要な工数」だと考えています。ミスマッチを防ぐためには、候補者がどのような人物なのかを見極める必要がありますし、スカウトの段階から関係性を築いていくことは、結果的に質の高い人材との出会いにつながります。応募を待つ形式の採用手法でも見極めの工数は発生しますから、むしろダイレクトリクルーティングは「最初に工数をかけて良い人材と出会う」という違いだと捉えています。自分からスカウトをかけることで、その方の良いところを探そうという意識が働くので、時間のかけ方が変わってきますね。
Q3.初月から成果を出されていますが、その裏側で苦労されたことや工夫されたことはありますか?
設立当初は案件が少なかったので、まず案件を豊富に揃えることに注力しました。特に、候補者が魅力的に感じるような案件を、バリエーション豊かに用意することを意識しましたね。フロントエンド、バックエンド、インフラ、フルスタック、テストなど、幅広い領域の案件をバランスよく揃え、単価も高単価(時給5000円以上)のものを中心にラインナップしました。これは、Instagramのトップページに並ぶ最初の9枚の写真が重要であるように、最初に目にする案件が候補者に刺さるものにしたいからです。この戦略は、私のこれまでのダイレクトリクルーティングの経験から、最初から決めていました。
Q4.脅威のスカウト返信率50%超えはどのように実現されているのでしょうか?その秘訣を教えてください。(テックダイレクトの平均の返信率は約30%)
私はスカウトの一斉送信はしていません。候補者全員のスキルシートを丁寧に見て、案件に合う方をピックアップし、スカウトを送るようにしています。エンジニアの方は案件の内容を見れば自分に合うかどうかがわかるので、凝った文章は不要です。ただ、「なぜあなたにスカウトを送ったのか」という選んだ理由を具体的に添えるようにしています。例えば、「あなたのこの経験が、この案件のこういう部分に活かせそうだと感じました」といった形ですね。
また、スカウト文面は「かしこまりすぎない」ことを意識しています。私は会社の代表なので、その旨を明記した上で、対等な立場でフラットに送るようにしています。文面は16行程度と比較的短く、具体的な案件情報に加えて、他の会社では得られないようなリアルな情報を添えることも重要です。例えば、「この案件では子育て中の同僚もいるので、働きやすい環境です」「残業がほとんどないので、プライベートとの両立がしやすいですよ」といった、候補者の状況に合わせた情報を加えることで、相手に「この人案件のことをよく知っている。自分のことを考えてくれている」と感じてもらえるように努めています。
スカウト数:30件
スカウト返信数:15件(返信率50%)
採用数:2名
Q5. 候補者を惹きつける「グリップ術」について、さらに秘訣があれば教えてください。
やはりレスポンスの速さは非常に重要です。あとは、見送りの連絡もしっかりと行うことですね。連絡が途絶えてしまうエージェントも多い中で、NGの場合でもきちんと連絡を入れることで、候補者の方も安心します。
そして何より大切なのは、「人と人」として接することです。時に人材業界では、候補者を「商品」のように扱うケースが見受けられます。あくまで対等な立場で、人として尊重し、当たり前のことを当たり前に行うことを心がけています。
また、この業界は「テイカー」(奪う人)が多いと感じています。情報だけを聞き出して、何もギブしないケースが多い。そうではなく、まずは「ギバー」(与える人)であることが重要です。案件を提案するなど、まずはこちらからギブすることで、候補者の方も「この人には情報を預けてもいい」と感じてくれるのだと思います。
Q6. 面談の際に意識されていることはありますか?
面談では、まず会社説明は短く済ませます。皆さんはあまり会社説明には興味がないでしょうから。あとは、経歴説明はさせません。スキルシートを見れば分かりますし、希望条件も事前に目を通しているので、「書いてあることは見ています」と伝えます。何かこだわりがあれば教えてください、という形でヒアリングを行います。そして、具体的な案件の話に時間を割き、候補者のスキルや興味がどこにあるのかを探るようにしています。面談時間は基本的に30分以内、長くても45分以内には終わるように心がけています。テックダイレクトさんのチャット機能も活用して、面談前からコミュニケーションを取ることで、より円滑に進められますね。
Q7. 案件獲得と人材管理について、工夫されている点はありますか?
案件獲得についても、DMサービスなどは使わず、候補者へのアプローチと同様に一件一件、お客さんに直接連絡をしています。企業の問い合わせフォームから、「御社の案件に合う方がいるのですが、いかがでしょうか?」といった形で地道にアプローチしていますね。案件を選ぶ軸は、基本的にはフルリモート案件であること、そして「この難しい案件は人を探すのに困っているだろうな」というもの、あとは単純に自分が共感できるプロダクトの案件を選んでいます。
人材管理や案件管理には、特に複雑なツールは使っていません。テックダイレクトさんのリスト登録機能や検索条件保存機能、除外条件設定機能を細かく活用しています。これらを活用することで、リストが綺麗に保たれ、効率化が図れています。驚かれるかもしれませんが、KPIは見ていません。会社員時代はKPIが大好きでしたが、マネジメントに必要なツールであり、私一人の場合は不要だと考えているからです。
あと、皆さんにぜひ試してほしいのが「追いスカウト」です。一度スカウトを送って返信がなかった方でも、新しい案件が入ったタイミングで再度連絡してみるんです。「この案件、前回とは違うタイプですが、いかがでしょうか」という形で。エンジニアの方は、レスしなかったことを気にしている場合もありますし、定期的にアプローチすることで、つながれることもあります。