2025.12.26

【採用ノウハウ連載コラム】第四弾:採用面談を商談と捉えよう!採用担当者が陥る罠

採用面談を商談と捉えよう!採用担当者が陥る罠
株式会社リンクアップ 代表取締役 阿部隼弥
営業会社を起業後、大手人材派遣会社から依頼を受けたことをきっかけにRPO事業(採用代行事業)に進出。主にIT関連会社、人材派遣会社、建設会社などの人材不足に悩む企業の採用コンサルティング・採用代行を行っている。

本コラムでは、RPO事業者の代表である阿部様に、採用活動を成功に導くためのノウハウを全六弾に分けて解説していただきました。

第四弾では「採用面談を商談と捉えよう!採用担当者が陥る罠」というタイトルで、実際の面談の進め方や採用担当者が陥りやすい誤った対応などについて解説していただきました。

1.採用面談を商談と捉えることの重要性

本コラム第一弾の市場調査で適切な採用方針を決め、第二弾で最適な採用手法と媒体を選択し、第三弾のスカウトメールの工夫で他社よりも多くの面談設定を実現できるようになっていると思います。そしていよいよ候補者と実際に顔を合わせる面談のフェーズにはいりますが、ここで大切なのは、採用面談=商談と捉えることです。

商談とは一般的に、商品・サービスの売買に関して、顧客と具体的な条件を交渉し、双方の合意を目指すビジネス上の話し合いのことを指します。単なる売り込みではなく、顧客の課題をヒアリングし、自社の商品・サービスでその課題を解決する「価値」を提案し、納得をしてもらうための価値交換の場であり、営業プロセスにおいて非常に重要な局面を指します。

面談における「商品・サービス」とは採用担当者の属する会社を、「顧客の課題」とは求職者の転職理由を、「課題を解決する価値」とは就職後の明るい未来を指していると考えておきましょう。

採用面談を単なる情報交換の場や企業面接の一貫として捉えるのではなく、いかに自社の魅力を知ってもらい、候補者のことを知り、自社を選択してもらうための交渉の席として捉えることができるかが重要です。

2.商談のコツは壁取り、興味付け、テスクロの三段階

中には営業職を経験されてから採用担当になられた方もいらっしゃるかもしれませんが、そうでない方のために、採用面談を商談のように進めて行く方法を三段階に分けて説明していきます。

①壁取り
初対面の相手に最初から心を開いている人はいません。まずは候補者の中にある心の壁を取り除く作業から始めましょう。いきなり志望動機や会社説明、自社の魅力などを伝えても上辺だけのリアクションしか得られません。基本的に人間は信頼できる人の言葉しか信用しない生き物であることを認識し、候補者にとって自分が”信頼できる人間”と認めてもらう時間を作ることが必要です。

例えば貴方が不眠に悩んでいたとしましょう。自宅のインターホンが鳴り、飛び込みの営業マンが「不眠を解消する枕を買いませんか」と薦めたところで、その商品を買う人は極めて少数なはずです。しかし、貴方の信頼する家族から「この枕で寝ると不眠を解消できるから買った方がよい」と薦められれば、検討する人も多いのではないでしょうか。

壁取りの方法は様々です。相手の経歴書から興味がある分野を推測し、面談の始めに和気藹々とした雑談をするのもよいでしょう。最近の天気の話や身の回りの出来事を話題にして柔らかい雰囲気を作ることも効果的です。
コミュニケーションを通して、「この面談担当者は信頼できそうだな」という土台を作ることができれば、その後の面談で候補者の”本音”を引き出すことができます。

②興味付け
①の壁取りが達成されることによって初めて、候補者は面談担当者の話す内容を心から聞くことができます。そこからは思う存分自社の魅力や用意したポストの待遇面などについてアピールをしていきましょう。ここで気を付けなければならないのは、あくまで求職者の課題に沿ったアピールをする必要があるということです。

求職者は何らかの変化を求めて採用面談に臨んでいるはずです。「現職の待遇に不満がある」「人間関係に悩んで転職を考えている」「よりステップアップした仕事をしたい」など、求職者が抱えている課題に対して、「自社に入社することでその課題を解決することができる」という点を主軸にアピールを行うことが大切です。
例えば、「ワークライフバランスを大事に働きたい」という候補者に対して、いくら給与面でのアピールを行っても、それは徒労に終わってしまう可能性が高いでしょう。

③テスクロ
テスクロとは営業用語のテストクロージングの略で、最終的な契約に進む前に、顧客の購買意欲や心理状態、不安点などを探るための「試験的な質問」や「確認作業」のことをさします。
①の壁取りで候補者が本音を話しやすい空気を作り、②の興味付けで自社の魅力が十分に伝わったと感じたら、「ここまでで弊社を選んでいただけない理由があるのか」をヒアリングしましょう。候補者が採用担当者を信頼し、会社に魅力を感じていたら、後は細かな障壁を排除し、労働条件等を微修正することで、入社への意思決定を促すことが可能になります。

上記の①~③を実践することで、面談からの採用決定率を大きく向上させることができます。大切なのは壁取り→興味付け→テスクロをこの順番通りに行っていくことです。候補者は採用担当者を信頼していなければ心から話を聞くことはありませんし、候補者の本音を引き出せなければ入社の意思決定までの細かな条件の詰め作業を行うことはできないのです。

3.採用担当者が陥りやすい罠

採用がうまくいかない企業の採用担当者と話をしていると、「上から目線で面接をしている」と感じることが多々あります。
有効求人倍率が1を下回り、「企業が採用する人を選ぶ」という時代の文化が、多くの企業の中で形骸化して居残っているように感じるのです。
採用競争が激化した昨今では、この「上から目線」が致命的となりますが、当の採用担当者は気づいていません。
是非一度自身の採用スタンスを見つめ直し、「自分が相手を選ぶ」のではなく、「相手に自分を選ばせる」採用を心がけていただければと思います。

第四弾まとめ

第四弾では、採用面談=商談であるという考え方の重要性について説明し、実際の面談の進め方のコツについてお話させていただきました。次の弾では面談のときに有効なコミュニケーションのギミックについて解説していこうと思います。

【第五弾:面接で相手の心を掴むプロセスとギミック】へ続く

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