IoTなど最新の技術で開発チームを率いて活躍されている株式会社 Moffの河治さんとコデアル川原によるインタビュー対談です。
『GREE』のエンジニアを経て、2017年、株式会社 Moff へジョイン。開発チームのVP of Engineering として従事。「家族を活き活きと元気に」をミッションに、自社開発のウェアラブル端末「Moff Band(モフバンド)」を中心としたモーション認識・データ解析技術を組み合わせて、介護施設向けIoTリハビリ支援サービス「モフトレ」などを展開している。
中学生の頃からプログラミングに親しみ『楽天』でのエンジニアを経て、2015年コデアル株式会社へジョイン。即戦力エンジニアのプラットフォーム「CODEAL( http://codeal.work )」のリードエンジニア兼 開発責任者として従事。ボードゲームと街道散歩が趣味。
リモートワークの課題は心の平静を保つこと?解決策は「作業効率の期待値設定」
川原)新型コロナウィルスの影響で、必要にかられてリモートワークをしている企業が多くなりましたが、河治さんのところでは現在どのように対応されていますか?
河治)緊急事態宣言が出る前までは、週に1度は集まって打合せをしてすすめていましたが、発令された4月以降は、週5日完全リモートワークになりました。幸か不幸か(笑)おそらくは今後も一部在宅勤務を許容する流れになりそうです。
川原)幸か不幸か(笑)不便なことや課題感はありますか?
河治)Moffの開発チームでは、エンジニアの社員が5名、業務委託が7〜8名、合計13名ほどですが、リモートワークの場合、伝わるものが伝わりにくいという課題があります。Slackだけだと細かいところで齟齬が出ることですね。オンライン上では焦っている様子とか見えないので、話しかけづらかったり、オフィスで感じる温度感や作業効率は違います。
川原)全く同じ課題ですね(笑)。解決策は「作業効率に余り高い期待値を持たない」ことにしています。物理的に対応している場合、ベースラインが100%の出来だったとして、リモートワークの場合だと70%くらいの完成度と見ておくと「心の平静」が保てます(笑)「心の平静」って大事で、焦ると事態が悪化することもあったり。コデアルも完全リモートワークをはじめた頃、作業効率の期待値を高く設定しすぎて大変でした。期待値を高くしすぎず、ただ、期待値を低くしすぎると開発がすすまないとなるので、バランスですね。
河治)まさに「心の平静」そうですね。あまりメンバーを不安にさせないよう気をつけてはいますが、フロントエンド、バックエンドに関わらずある程度権限移譲して進めていて、技術チェックするだけで良いようにしているものの、進捗管理はマネジメント層の悩みですね。就業時間時に作業の開始と終了にSlackの投稿するくらいに留めて、その後は、SlackとGitHub が仕事上のやりとりの中心なのですが、文章だけでは伝わらないこともありますね。
<写真>ウェアラブル端末「Moff Band(モフバンド)」。Moff開発チームは、技術で区分けしつつも、フロントもバックも関わらず、やりたい人が積極的に学んで実行するスタイル。
文章中心のオンラインコミュニケーションで気をつけていることは?「zoomつなぎっぱDAY」って?
川原)Slackの場合、感嘆符「!」とか使わないと、怒ってる雰囲気になったり、僕も絵文字とか使うタイプじゃないけど、大量の絵文字を使うことがありますね。
河治)僕も同じです。キャラじゃないけどスタンプを使いまくって、別に怒ってるわけじゃないよと。ただ、相手からスタンプで返ってこないこともあって(笑)
川原)文章で伝わらないことは、都度、ビデオ通話のzoomをつなげて話すこともありますが、最近は、2週間に1度のペースで、「zoomつなぎっぱDAY」を作ってます。「ちょっといいですか?」な質問が出やすくなったり、自然と雑談も出たりするので。ただ、シーンとなると気まずいので、うっすらBGMを流しています(笑)毎日だと疲れちゃうけど、後のSlackでのやりとりも和やかになって効果的だなと感じてます。
河治)なるほど!いいですね。今度、やってみようかと思います。マネージャーのオンライン部屋をコンテンツ化する感覚で。家で1人で仕事をしている人は、話せる相手がいないとしんどくなると思うんですよね。とはいえ、Slack上で「ちょっと、こっちで話せますか?」とビデオ通話呼び出しみたいになると、恐怖感を与えてしまうんじゃないかと、心配になりますよね。
川原)オフィスだと、上長が席の近くへメンバーを呼んで話をするのも皆が見えている状態で話をするから安心感ありますが、1対1の構図だと心配になることもあるので、コデアルでは、1on1ミーティングも、たまに1on2で話すこともありますね。つまるところ、リモートワークで開発をすすめるには、技術の課題よりも「心の持ちよう」が大事なところがありますよね。最終的には個別対応になるのですが、気持ち的にはお医者さんみたいな感じで。とはいえ、Moffの製品上、物理的な課題もありそうですが。
河治)そうですね。ウェアラブルデバイスを介護や医療の現場で実際に使ってもらえる「モフトレ」などもあり、基本的にはセールスチームやカスタマーサポートチームは、遠隔対応をしているのですが、場合によって、現地に行って対応していることもありますね。僕たちの開発チームで対応しているソフトウェアのことや、技術的な要件を把握しているので、基本的にはソフトウェア・サービスの使い方の認識の乖離を埋めるだけで、オンライン上での課題は今はないですね。
特に最近は、モノのインターネットと言われるIoT(Internet of Things)製品も増えて理解が高まっているというのもあります。
最近注目している技術は?健康管理はリモートワークでご安全に!ラジオ体操を?
河治)最近注目しているのは、1枚の回路基板上にコンピューターとして最低限の機能を持たせた「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」や開発ボードの「ESP32 」ですね。
川原)僕も電池工作を趣味レベルでやってますが、最近リモートワークで「拍手音」とか鳴らしたくて「シーケンサー」とか「サンプラー」を作ろうかと見積したら1万円超えるし、時間もかかるし…で、なかなか怖気づいています。笑
河治)物理的なモノが魅力的に感じるのは、わかります。私の場合、逆にリモートワークになって、時間を得られてことで、ソフトウェアを探求する時間が増えたのも良かったですね。エンジニアは普段から、話す相手がいない業務がほとんどだから、修行僧のような生活になりがちで。
川原)コードという念仏を唱え、サーバーが落ちないようにひらすらコード念仏を唱えるという。トラブルがあったときは、火の上を歩いているかのよう。もはや修行ですよね(笑)他に注目してるものはありますか?
河治)リモートワークになってからも継続して行っているのは、開発に関する「勉強会」ですね。同じことをチームメンバーと一緒に考えることで、オンライン上でも雑談が生まれたり、相談ができたりするので。気晴らしにもなりますし。ところで、社員の健康管理はどうしていますか?
川原)これまでやってるのは、2週間に1度1on1をやってるのですが、その中で半分以上の話が健康についてですね。「最近、寝れてますか?」とか「寝れてないなら、理由は?」「運動できてないならビリーズブートキャンプしよう」とか(笑)
実はこれからやろうと思ってるのが、朝10時から18時まで「zoomつなぎっぱDAY」をする時、朝に「ラジオ体操」をみんなで一緒にしようと思ってて。安全第一の看板を背景に「ご安全に!」とか言いながら(笑)
河治)(爆笑)ラジオ体操ですか!いいですね!アイデアが斬新で、いいな〜。目からウロコです。「ご安全に!」いいですね!
川原)リリース前は特に、工事現場みたく安全にやらないといけないので。エンジニアの仕事ってもともと建築現場からきてる所もあるから「ご安全に」と声がけしながら(笑)ただ、「ラジオ体操」だけじゃなくて、あきないように「筋肉体操」とか、いろいろ試してみようかと。
河治)いままで、普段オフィスでしゃべってた事が楽しくて良かったのが、それがなくなってコミュニケーションをどうやってフォローしようかと思ってたので、参考にさせてもらいます!
コデアルの応募者の質がいい?いい人を見つけられるコツと社員採用の可能性も
河治)コデアルが良いのは、応募者の質がいい点ですね。
川原)コデアルで人材の受け入れ後、常時2〜3名の方が長期間、契約を継続されていますが、河治さんが、いい人を見つけられるコツをお持ちなのではと
河治)いい人を見つけるコツはこれまでの経験から、独自のフィルターがかかるようになったのかもしれません。以前はスキル面を見るようにしていたのですが、最近はそこに重きを置くことがなくなってきました。スキルや使用言語は書いてあるとおりなのであまり過大評価、過小評価せず「AS IS」としてみなし、ビデオ通話面談で、技術面については15分程度で簡単に聞いて「意思疎通とれるかとれないか」の部分を実際に行ってきた過去の開発業務にあわせて詳しく聞くようにしています。Moffの開発関連の採用プロセスで統一しているのは、面談の際に「雑談をすること」です。中でも「大事に思っていること」は必ず聞くようにしていて、会社としても健康にコミットする製品開発をしているので、趣味や休日の過ごし方なども話すようにしています。
川原)ビジョンに共感しているかどうかでしょうか?ビジョンに共感している人に社員にならないかと声がけすることもありますか?
河治)そうですね。声をかけることもありますが大事なのは、いくら技術面に長けていても、ビジョンに共感されない場合は無理にしないですね。共感されているかどうかは話していると何となくにじみ出てくるので。こちらから社員への打診をすることもありますが、ご本人のライフスタイルは大切にしております。ただ、現時点でリモートワークが中心になったいま、会社の制度が変化することで社員採用の候補も増えてくる気がしています。実際に週5日完全にリモートワークになってみて、エンジニア一人ひとりの開発の生産性が変わったか?というと大差なく仕事がきていますし、オフィスの必要性なども考えると経費削減にもつながって一石二鳥ですね。
川原)そうですね。リモートワークも当たり前になって、あたらしい働き方が、また生まれてくるかもしれませんね。河治さん、今日は楽しいお時間ありがとうございました!