「自分の武器は何か」と尋ねられたら、皆さんは「これだ!」という回答ができますか?
働き方改革もますます進んでいる昨今。1つの組織に縛られず、自分のスキルや価値をあらゆる場所や機会でいかす働き方が多くの人に受け入れられるようになりました。そんな自分の活躍の場が広がる社会において自分の武器を把握しておくことは、複業やフリーランスとして活動していく上で非常に大切なことではないでしょうか。
そこで今回は、音楽、広告、ホテルなど多岐にわたる業界での広報職としての勤務経験を活かし、現在はITベンチャー企業でブランディング室室長を務める傍ら複業で広報支援を行う森真紀さんに、複業という働き方を選んだ理由や複業ワーカーとしての信頼関係の築き方、これからの複業ビジョンについて即戦力複業の求人サイト「コデアル」を運営する、コデアル株式会社代表の愛宕より話をうかがいました。
(執筆:高橋まりな/ 取材:CODEAL愛宕 )
人との「ご縁」や「繋がり」を大切に、広報職として働く日々
愛宕 森さんが広報を目指すことになった理由を教えてください。
森 昔から「何かを発信して人に伝えていく」ことが好きだったんです。中学時代は演劇部に所属。高校時代は創作ダンスに取り組んだりしていました。その影響もあり、大学はマスコミ学科があるところを受験しました。大卒後は大手飲料メーカーで営業職を経験した後、紆余曲折あって27歳でようやく念願の広報職に就くことができ、大阪ブルーノート(現:ビルボードライブ大阪)、ラマダホテル大阪で10数年広報を務めました。
愛宕 その後、東京の人材サービス会社「パソナテック」で広報職を務めることになったんですよね。きっかけは何だったのでしょうか?
森 当時PRマネージャーとして働いていた「ラマダホテル大阪」が閉館することが決まり、新聞に取り上げられたんです。その記事を見た知人が転職先として紹介してくれたのがパソナテックでした。IT業界に在籍した経験のないわたしにとっては40半ばにしての挑戦でしたね。その後、5年間在籍しました。現在は、3年前にパソナテックと資本・業務提携をしたIT系ベンチャー企業「モンスター・ラボ」へ出向が決まり、ブランディング室室長を務めています。
愛宕 さまざまな経験を積まれているかと思いますが、特に印象に残ったエピソードはありますか?
森 大阪ブルーノート時代から親しくしてくださっていた某新聞記者の方が、数年経ってラマダホテルへ転職した際に、転職祝いとして新聞内の大きな広告枠を無料でプレゼントしてくれたことがありました。驚きでしたね。
さらに、ラマダホテル時代に知り合った某記者の方からは、パソナテックへの転職祝いとして5日間連続で記事を掲載してくださったことがあって。広報という仕事をしていて本当によかったと心から思いました。
愛宕 人との繋がりを大事にしてきた森さんならではのエピソードですね。現在勤めているモンスター・ラボでの毎日はいかがですか。
森 グローバル企業なので、あらゆる国籍の人と一緒に働けるのが楽しいですね。Slackで各拠点から日々様々な情報が入ってくるので、スピード感もありますし、毎日気づきがあります。
愛宕 どんな国が多いですか?
森 13カ国23拠点で、欧州や東南アジアなど、あらゆる拠点と都度やりとりが発生していますね。また、海外拠点を含めると約1000名の社員を抱え、企業規模が大きくなっているので、経営理念や行動指針といったクレドを全社員に浸透させるのが難しく。企業の文化・風土作りが今後の課題だと感じています。
複業を効率的にこなすコツは「豊富なネタ集め」と徹底した「名刺管理」
愛宕 プロの広報として複業されているかと思うのですが、森さんは今どのような業務に携わっているのでしょうか?
森 関西の知人づてに広報支援の仕事をいただいています。伝統産業、ITベンチャー企業、PC修理の会社など月ごとに支援する会社が変わり、業務内容もリリースの監修からメディアの紹介、記者発表会などの取材立会いまで多岐に渡ります。
愛宕 広報支援に取り組むにあたり、仕事を効率的にこなすポイントはありますか?
森 1社のみに固執せず、記者の方が興味を持ってくださるような時流のネタを豊富に持っていると良いと思います。あとは、担当の方が転勤したりすることもあるので、コンスタントにタッチポイントを持っておくことは重要だと思います。
また、名刺はEight(エイト)というアプリと台帳で管理しています。会社名で検索したいときはEight、一気に見たいときはメディアのジャンルごとに分けた台帳を使用するなど用途によって使い分けています。名刺の裏には「●月●日に異動」「この会話をした方」など特徴や情報をメモしてすぐにわかるようにしています。
愛宕 ネタ集めや名刺管理など、効率よく仕事ができる仕組みを考えることは重要ですよね。本業もある中で多忙な毎日かと思いますが、複業にはどのくらいの時間を割いているのでしょうか。また、コミュニケーションツールは何を使用していますか?
森 具体的に何時間とはあまり意識していないかもしれません。コミュニケーションツールは基本的にGmailで、平日の夜または土日にやりとりをしています。緊急の場合はFacebookのメッセンジャーを使用し、昼休みの時間に連絡しています。ビデオ会議の際は「Zoom」というツールを使用しています。
愛宕 森さんですが、今後、どのような働き方や生き方がスタンダードになると思いますか?
森 今後はどれだけ「個」として勝負できるのかが重要だと思っています。かつては「○○企業の誰々さん」という時代でしたが、今では「副業」や「複業」、ベンチャー企業が増えるなど、時代と共に働き方が多様化してきています。コデアルさんのサービスもそういう流れを加速させていると思いますし、これまで自分が培ってきた「信頼」という貯金を元に、一個人としての働き方や生き方を実践していくのがすでにスタンダードになってきている気がしますね。
愛宕 貴重なお話、ありがとうございました!
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編集後記
企業に所属して働く、個人の立場を活かして働く…働き方の選択肢が増えている昨今ですが、大切なことは「人との繋がり」や「ご縁」を大切にひとつひとつの仕事に取り組み、信頼を得ていくこと。そこからまた、新たな仕事が生まれ、より個々人の人生が輝くのかもしれない、と森さんの話を聞いて実感しました。