2020年6月8日(月)に行われたオンラインセミナー「アフターコロナのキャリア・複業・起業 第二弾」の体験レポートです。
登壇者自己紹介
松本)学生時代はバックパッカーをしていました。学生時代からの目標であった起業のために1997年に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入りました。高野さんとは株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)で同僚でした。
2003年に独立し、リクルートによるM&A提案を受け5年で事業売却。その後は海外NGO支援、社会起業家支援などを手掛ける一方、新規事業戦略、組織・人材戦略を中心に法人への事業コンサルティングやメンターをしています。今日はキャリアや経営も含めてお話をしたいと思います。
愛宕)即戦力エンジニア採用のプラットフォーム「CODEAL( http://codeal.work )」運営しており、現在は即戦力人材14,000人の方に登録いただいます。登録頂いている方の7割がエンジニアの方ですが、コロナ後は、エンジニア職以外の方の登録も増えています。
起業当初は即戦力の「ヒモ」で、起業はリモートワークからはじまった人生です。
今日は楽しくお話できればと思います。
高野)人材会社とベンチャー投資をしています!You Tube:高野秀敏のベンチャー転職chもやっています!
アフターコロナの求人で高まっているニーズは?
松本)今日はアフターコロナがテーマですが、最近は「アフターコロナ」という言葉をよく聞きますね。2020年3月、4月頃は求人募集が少なくなっていましたが、現在の求人マーケットはどのように推移しているとみていますか?
高野)自粛明け以降については比較的回復してきている印象はあります。
元々、コロナの前はバブル的に求人募集が多かった状態なので、少し慎重になっている印象です。
松本)私も一時期は求人募集が壊滅的だという話がありましたが、思っていたより回復している印象はありますね。
高野)採用方針が変わっていることはありますが、求人募集を再開していたり、採用が決まっている人もいます。
松本)現在好調な業界はありますか?
高野)オンライン診断、オンライン面談、オンライン商談、EC・通販関係、動画関係全般が好調ですね。
想定より少ないと聞いているのですが、ドラッグストアやスーパー、ゲーム関係の業種も業績は好調の様です。
松本)業界は関係なく、今求人ニーズが高まっている職種はありますか?
高野)技術系のエンジニアやデザイナーは常々ニーズが多いですが、収束気味なのは営業やビジネスサイドです。
新規の受注が伸び悩んでいたので採用も様子見になっていますね。
あとは未経験のエンジニアは就職が難しくなりました。第二新卒の方向けの求人サービス事業も苦しい様子です。
松本)先行きが見えない状況だと育成に時間がかかる見込みの未経験や新卒の方は採用しづらいですよね。
高野)2020年の4月に入社した方が解雇されてしまい、再度就職された方もいました。
その方はかなり魅力的な経歴をお持ちの方なので、再就職先の企業はとても喜ばれていました。
松本)裏返せば優秀な方を採用できるチャンスでもありますよね。
高野)よくSNSでも人材の情報を発信するのですが、2020年の2月頃と比べると反応が全く違います。
今は本当に必要な人だけを採用している印象です。
アフターコロナの複業・リモートワークに変化
松本)愛宕さんは複業も含めてアフターコロナの状況をどのようにみていますか?
愛宕)ハイスキルなエンジニアやデザイナーの需要はかなり高まっていますが、今すぐに必要ではないお手伝いのような複業のニーズは減っているようにみえます。オンラインで接客をしたりサービスを作っていく職種はニーズが増えていますね。
松本)複業で働きたい人のニーズは変化していますか?
愛宕)働く側のニーズはそこまで変わっていない印象です。
今回のコロナの影響でリモートワークが広まった事により、働き方を見直しされている方は増えています。
リモートワーク可能な社員のニーズが高まっていたり、リモートワークをきっかけに都内中心地から近隣の県へ引っ越しをされる方もいます。
松本)私の知り合いにもリモートワークをきっかけに引っ越しをした方がいますね。
愛宕)毎日オフィスに出社するのではなく、週1日程度オフィスに出社する働き方のニーズが増えているように感じます。
松本)オフィスを完全に廃止され、フルリモートに切り替えている企業もありますね。
高野さんの周りでもリモートワークの求人募集の増加など変化はありますか?
高野)インターネット関係の会社はコロナ以降リモートワークをOKにする企業が増えています。
「リモートワークをすることで生産性があがった」という意見の一方、「会社に来た方が集中して作業ができる」という声もあります。気分を変えたり、環境を整える意味ではオフィスの存在も重要ですね。
松本)大手IT企業は、リモートワークの特徴と会社の文化を考え、週1日リモートワークを導入する事を決めたそうです。
高野)オフィスのあり方やマネジメントのあり方は変わる気がします。メガベンチャー企業の多くは、請求書や契約書など紙でのやりとりがオンライン化され、打ち合わせのほとんどがビデオ会議になりました。
実際にビデオ会議を行うまで、オンラインでもここまで生産的に会議が行えるとは思ってもいませんでした。
松本)訪問ができる場所でも打ち合わせをする際は「ビデオ会議でいいですか?」とオンラインを優先させるようになりました。直接訪問するより、オンラインだと打合せ回数も増えますね。
高野)zoomの無料アカウントを利用する場合、複数名でビデオ通話する際は通話制限が40分と決められているので、会議が短くなったという話は聞きます。
求人におけるSNSの有効活用が活発に?
松本)直接会えないからこそリファラル採用においてSNSを活用する方が増えました。SNSで広い繋がりをもっておくことは、今後のキャリアを構築するうえで重要だと思います。
高野)自粛期間中に様々な会社のホームページのPV数が過去最高になったそうです。You Tubeなどの動画再生回数も増えています。
松本)高野さんもYou Tubeを始められましたが、動画を使った転職や採用の動きはありますか?
高野)You Tubeをやられている方々のほとんどが広告収入モデルです。B to Bで人材紹介するようなバックエンドモデルでやっている方はあまりいないので私がやっています。
ずっと真面目にキャリア相談していても辛い話になってしまうので、くまのぬいぐるみを登場させながら面白くやっています(笑)
アフターコロナの働き方から、人事評価まで変わる?
松本)今後のリモートワークはどのように変わっていくと思いますか?
高野)リモートワークに限ったことではないと思いますが、今後、様々なことがデジタル化され、数字集計されることで、より個人のパフォーマンスが評価されていく感覚はあります。
松本)高野さんも以前Twitterで似ている事を発信されていましたね。
高野)リモートワークになると「仕事をしている感を出している人」がはっきりみえてきます。大手企業で人事評価制度を見直す動きも出ています。
松本)前向きに考えれば、今回のコロナによるリモートワーク導入が現在の制度や、当たり前にあったオフィスの意味を考え直す良いきっかけになりましたね。
愛宕)高野さんはビジネス的な要素だけでなく、楽しさもあるからYou Tubeをやられているのでしょうか?
高野)ライブ配信は楽しいのですが、動画撮影は楽しくないですね(笑)
有名なYouTuberの方は、好きではじめてマネタイズエンジンが付いてきた方が多いと思います。
愛宕)リモートワークも同様で生活と仕事の壁が薄くなる感覚はあります。例えばYou Tubeも視聴者の方に合わせてどのような動画を提供するか判断するわけで、ビジネス上のKPIを伸ばすときの考え方と何らかわらない気がするんですよね。
アフターコロナで、複業も起業も価値観に変化
松本)質問にもあるのですが、ぶっちゃけて複業・起業に向いていない人はどんな人ですか?
高野)複業だと一般的な会社の中で作業を切り出せるスキルを持っていない方だと複業が成り立たないと思います。例えばエンジニアやデザイナーは作業を切り出しやすいので、比較的複業は成り立ちやすいですが、経理や営業職の場合は作業の切り出しが難しいので「複業をやりづらい」という相談をよく受けます。
経営企画やコンサルをされている方でも柔軟性がないと仕事を請けるのは難しいですね。
松本)仕事の職種もありますが、柔軟に相手のニーズに合わせたり、環境にあわせて動ける方は複業に向いているということですね。
高野)「複業を始めたい」と話していた人がクラウドシーシング等でブログ記事の執筆代行をしていました。もちろん、クラウドシーシングも良いと思うのですが、直接営業して受託しにいく方が近道に感じます。
松本)複業を探すのは転職とちょっと違っていて、営業力がないと厳しいかもしれませんね。
高野)ある企業では営業も完全に仕組み化されていて分業している話も聞きますが、複業や起業・フリーランスをやる場合、他の人ができないようなプラスαの技術があってこそ仕事が請けられる状態になります。
松本)愛宕さんは複業で成功される方、失敗される方についてはどのように考えていますか?
愛宕)社員を継続的に雇用できる会社の場合は、一定程度の仕組み化や業務のフロー化が進んでいるため、本業で会社員をしながら、複業する場合、安定感はあるはずです。そんな安定の中で、先ほど高野さんがお話されていた属人的な複業を始めるとすると、厳しいかもしれないので、例えばITエンジニアの人が大工を複業で始めるのは面白いと思いますね。すぐにお金にならなかったとしても、普段だと経験ができないような複業にチャレンジするのもいいと思います。
松本)本業ではできないキャリアの幅を広げるために前向きな複業をするということですね。
一方、収入を増やす目的で行う複業についてはどのように考えますか?
愛宕)もちろん、収入を増やす目的で行う複業も良いと思うのですが、限られた時間を有効に使うのであれば、本業で役割を超えて幅を広げる仕事をした方がキャリア的にプラスになることが多いと思っています。
取捨選択でどこかに時間を使えば失う時間もあります。自分のキャパシティを超えるとパフォーマンスが下がるので、まずは、自分のキャパシティがどれぐらいなのかを見極めて判断することが大切だと感じています。
松本)投資家の高野さんからみて最近は起業のトレンドはありますか?
高野)サロン型や月額サブスク型で社員を雇わずひとりでもできる事業を立ち上げる方が増えてきています。
松本)私も様々な起業家を支援していますが、社員を雇わない人が多いですね。業務委託やパートタイムをうまく使っている方が増えてきている印象です。
高野)組織化をしていても、社員、業務委託、フリーランス、複業をミックスして事業をされている企業もあります。様々な働き方を取り組まれている企業がある一方、昔から変わらず成功にむけて365日通して働かれている起業家の方も一定数いらっしゃるのが面白いですね。
松本)熱い方も一定数いますよね。社員を増やさずに事業を成長させたり、リモートワークでマネジメントするのは難しいと感じることはありますか?
愛宕)コデアルの場合は業務委託でご一緒してから、もっと一緒に働きたい方の役割を調整して社員化しているのでマネジメントに苦労はあまり感じていません。目上の方とご一緒する事が多いので、私自身が仕事をしながら学ばせてもらっている事が多いです。
松本)私たちの世代では起業すると社員を雇って会社を成長させる文化でしたが、最近は新しい世代の方々がオフィスもなくリモートワークで、かつメンバーも社員ではなく業務委託や複業の方とご一緒していて、会社の維持コストが低い状態で継続できるので起業のハードルが低くなりました。
愛宕)コデアルの場合は、一緒に働きたい人に合わせて仕事を作っていたら現在の状態になりました。例えば、一緒に働きたいエンジニアが「リモートワークで働きたい」と言われたのをきっかけに、リモートワークができる環境を整えました。クリエイティブな仕事ができる人たちと一緒に働かせていただくために、新しい仕事の仕方に挑戦する考え方もあると思います。
松本)なるほど、面白い考えですね。
まだまだ、話はつきませんが、またこのような機会でお話しできればと思います。本日はありがとうございました。
ファシリテーター
松本 淳
一般社団法人アースメディア代表理事
株式会社ブライトアンドカンパニー代表取締役
1997年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社、人材紹介事業の新規立ち上げで事業戦略立案などを担当。 2003年に独立、求人検索エンジン事業のジョブダイレクトを創業し、リクルートによるM&A提案を受け5年で事業売却。その後は海外NGO支援、社会起業家支援などを手掛ける一方、新規事業戦略、組織・人材戦略を中心に法人への事業コンサルティングを提供。また「企業とコミュニティ」の関係性に着目し、SNSを基盤とするソーシャルな関係構築と企業と個人の共創の場づくりを実践。
Twitter:@Jn_Matsumoto
note:https://note.com/jn_matsumoto
語る会パネラー
高野 秀敏
株式会社キープレイヤーズ 代表取締役
1999年に東北大学を卒業し、株式会社インテリジェンスへ入社。
2005年に株式会社キープレイヤーズを設立。
3500名以上の経営者の相談と、10000名以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。
また、55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。
キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
Twitter:@keyplayers
You Tube:高野秀敏のベンチャー転職ch
愛宕 翔太
コデアル株式会社 CEO
働くをもっと自由に。
即戦力エンジニア採用のプラットフォーム「CODEAL( http://codeal.work )」運営。
Twitter( @shotaatago )、ブログ( https://note.mu/shotar )では、エンジニアの採用やリモートワークを支援するためのノウハウや日々の思いを発信中。