今回の対談相手は、議論メシの代表でありながら、FreelanceNowの発起人でもあるディスカッションパートナー兼フリーランス研究家の黒田悠介さんです。「働くをもっと自由に」のビジョンを掲げ、即戦力の複業求人サイト「コデアル」を運営するコデアル代表の愛宕(あたご)と、2つのコミュニティの運営に携わる黒田さんにコミュニティという組織についてや、コミュニティメンバーの熱量を上げる方法、コミュニティの未来についてお話していただきました。
愛宕 はじめに、黒田さんがFreelanceNowを始めたきっかけはなんだったんでしょうか?
黒田 フリーランス研究家と言っていることもあって、いろんな方から紹介してよって言われることが多かったんですね。ただ、それが増えていくうちに、その都度繋ぐのが難しくなってきて、自分が間に入らずにフリーランスが仕事を得られる場として立ち上げました。職種としては、本当にさまざまではありますが、デザインやコーディング、ライティングなどのクリエイティブ系のお仕事が多いですね。
愛宕 たしかに紹介って双方に気を使いますよね。
黒田 そうなんですよ。ものぐさな性格もあって、そういう場にしたところ、今ではフリーランスを中心に2000名を超えました。
愛宕 すごいですね。議論メシの方はいかがでしょうか?
黒田 そもそもは、3年前に僕のようなディスカッションパートナーを増やそうと始めました。ただ、やっていくうちに、課題解決していく中で事業とかプロジェクトについて議論、相談をする場になっていきましたね。
愛宕 お話を聞いていて、議論メシで議論して実行に移す、FreelanceNowは実行する場とのイメージなのですが、そこがつながることはあるのでしょうか?
黒田 まさにそうですね!繋がることももちろんあります!
会社とコミュニティの組織的な違い
愛宕 もともと黒田さんは会社してたんですよね?
黒田 そうですね。WEBマーケの会社、予約システムなどを作る会社をやっておりまして、我ながらうまくやってはいたんですよね。もう会社はやるまいと思ってますけど(笑)
愛宕 なんでですか!?
黒田 事業も悪くないし、ちゃんと資金も回ってはいたんですけど、社員の家族を養うためにって考えたら、お金のことばかり考えてしまって…。「絶対こっちの方が楽しいな」って思っても、儲かる方を選んでしまうんですよね。そういう資本主義的な思考が弱いなーって気付かされたんです。
愛宕 きちんと利益を出しながら経営できないと、活動をそもそも継続できないですからね。。。
黒田 会社がお金と人と情報を集める装置だとはわかってはいたのですが、思った以上に向いていなかったので、今でいうコミュニティのような場を作って「面白い!」って乗ってくれる人となんかやりたいって思うようになりました。
愛宕 なるほど。黒田さんはコミュニティと会社組織ってどう違うとお考えですか?
黒田 コミュニティは、契約関係もなければ、どっちが偉いもないです。あとは企業は明確なビジョン、目指すべき世界観がどーんってある。でも、コミュニティはそこが曖昧で、個人を優先できるんですよ。だから、議論メシという場は「メンバーの自己実現の加速装置として機能したい」って言ってます。
愛宕 素敵ですね!自己実現の加速装置って気になります!
黒田 「議論メシのメンバーみんなで、これを成し遂げるんだ!」じゃなくて、議論メシを通して皆さんが個々にやりたいことを自己実現する場ですってことですね。
愛宕 なるほど。その中での黒田さんの役割は?
黒田 熱量をあげたり、ハードルを下げたり、ファシリテートすることですね。マネジメントのように「こうあるべき」とかはないので、その点は楽しんでやっています。
愛宕 逆にコミュニティの難しさってありますか?
黒田 上下関係がないから、人数が増えると、誰が進んで決定していくか探り合うみたいなことがあります。
愛宕 なんだか旅行先で自然と道案内係とか、幹事が暗黙の了解で決まっていく感覚に似てますね(笑)
黒田 そういう感じですね。
良いコミュニティとは?
愛宕 黒田さんがコミュニティを通じて大事にしていることってなんでしょうか?
黒田 人と人のつながりをどうやって生み出すかって言うところが、重要だと思っております。機会とかつながりを作る場づくりっていうのが今一番大事にしていることですね。
愛宕 コミュニティってたまに宗教法人に例えられると思うんですけど、何かを崇め奉るとかないですし、そうゆう部分でいうと全然違いますね。
黒田 そうですね。僕の中では、コミュニティを簡単に言い換えるとしたら、宗教でもなくルールでもなく、文化と言う言葉が1番しっくりくると思います。
愛宕 文化ですか?
黒田 そうですね。何かが面白いと、そこに触れたい人が集まってくると言う印象です。実際、議論メシの場合は、ルールがない中で、基本何をやってもいいよと言う文化がありますね(笑)
愛宕 なるほど。黒田さんが意識している文化づくりのコツってあるんですか?
黒田 一気に人数を増やしすぎないことですかね。これまで議論メシでは、バームクーヘンを一層一層、積み重ねるように少人数ずつ受け入れてきました。というのも、もし一気に受け入れたら秩序を乱れますし、今までの文化がガラッと変わってしまう気がするんですよ。
愛宕 なるほど。では、コミュニティ継続のために意識していることはありますか?
黒田 自分が先に躍り出て熱量を上げるようにしていますね。あとはハードルを上げないように、できないことを無理にさせないようにはしていますね。
メンバーの熱量を上げるコツ
愛宕 同じコミュニティでも所属しているメンバーに熱量の差はあるのでしょうか?
黒田 そうですね。ピラミッドを上から見た図を想像してほしいのですが、一番外側から、ただ見ているだけの方、その次がオンラインでいいねなどの軽いリアクションをするのみの方、オンラインで議論やテーマを投げかける方、オフライン参加する方、オフラインのイベントでの主催者、コミュニティ発のコミュニティを作っていく層という感じですかね。
愛宕 なるほど。その真ん中の層を増やしていくポイントってリアルイベントへの参加かなと想像するのですが、リアルイベントに参加するとやはり熱量っは上がるんでしょうか?
黒田 そうですね。熱量を上げるのにオンラインだけでは難しいので、リアルイベントをやるのは重要です 。ただ頻度が多すぎると希少性がなくなって、人の集まりも悪くなるのであまりやりすぎないようにはしていますね 。
愛宕 黒田さんが熱量を上げるために一番重要だと考えることはなんでしょうか?
黒田 個人の中にある問いですね。それが共通していると、年齢とか共通の趣味より以上に仲良くなれると思っているので、問いを表明できるようにしたいなと思っていますね
愛宕 たしかに。僕も「働くをもっと自由に」というビジョンや問いが同じだと、コミュニケーションを多少端折ってもすぐに近づけるなと感じているんですよね。
黒田 例えば対抗する意見でもHOWとかWHYの部分で問いを重ねる力ってパワフルだと思っているんですよね。協力し合えるというか…
愛宕 すごく共感できます!最後になりますが、黒田さんが考えるいいコミュニティとはなんでしょうか?
黒田 コミュニティってコミュニケーションの場なので、コミュニケーションが盛んな場であることですね。やはりメンバーが多いだけで、点が増えるだけでは意味がない、それが線としてつながることが大切だと感じています。あと、これから大切になっていくこととしては、コミュニティの外とどうつながるかが大事だと思います。
愛宕 コミュニティの外ですか?
黒田 コミュニティが増えているからこそ、コミュニティ同士がつながる、共同体になることが重要だと思うんですよね。例えば農家コミュニティとうちがつながったら、それだけでご飯の心配はいらなくなる。だから、職がなくなってもコミュニティに協力すれば安心というイメージです。だから、文化が似ている同士つながればいいなと思います。
愛宕 実際コミュニティって個人で見ると掛け持ちしている方多いですよね。複業とも似ている気がするのですが、相乗効果をもたらす関係性なのかなと思います。
黒田 そもそも家も会社もコミュニティなんですけど、そこに文化とか考え方に共感できる場があって、どんどん所属するコミュニティが増えていくのが、今の時代の特徴です。だから、コミュニティをポートフォリオとして、それぞれの価値を引き出すかが私たちの課題なのかなと思います。
愛宕 今日は楽しかったです、ありがとうございました。ぜひまたお話しさせてください!