今回はコードキャンプ株式会社CEO、池田洋宣さんとの対談です。
コデアル株式会社CEO:愛宕
ソフトウェアと教育をメインテーマに、どういう人がプログラミングを学ぶべきか、といった話にも発展しました。
愛宕 本題に入る前に事業について教えていただいても良いでしょうか?
池田 コードキャンプというサービスを展開しています。ビデオ通話を使用して、フリーランス・現役のエンジニアの方がマンツーマンのプログラミングレッスンを提供するサービスです。のべ1万人くらいに利用されていまして、受講者の方からは、大きな会社のエンジニアや、起業される方も多く出ています。
愛宕 学ぶ目的によって教え方は変わるのでしょうか?
池田 ビジネス目的で、プログラミングの概要を知りたい、という方はライトなものを提供しますし、エンジニアを目指したり、法人研修の場合、教科書に載っていない実務的なものを教えています。
ソフトウェアとはどこに行っても関わらざるをえない
愛宕 子供の受講生はいるのでしょうか?
池田 基本的に大人向けなので、いないのですが、たまに高校生くらいの、大人を凌駕するレベルのような方はいますね。
愛宕 将来自分のお子さんにプログラミングを勉強させたい、と思いますか?
池田 それは思いますね。うちにはスタートアップにしては子供を持つ社員も多くて、プログラミング系の会社に入る動機っていうのも子供もプログラミングをやらせてみたい、というものもあるみたいで。私も素養としてやらせたいと思います。
愛宕 私も一つの機会として、教えたいとは思いますね。ソフトウェアを使ってビジネスを作っていくことが多くなっていくと思うので、エンジニアでなくても知っておくことの意義は大きいですよね。
池田 おっしゃったように、ソフトウェアやIoTがハードウェア・モノの業界にも入っていますよね。自動車業界や建築業界でもソフトウェアが切っても切り離せないものになると思います。
どうせならインターネット系の企業に就職して欲しい
愛宕 コードキャンプの卒業生の中ではエンジニアとして就職する方も多いとのことですが、その点に関してどう思いますか?
池田 我々としてはIT・インターネット企業に就職してほしいという思いがあります。会社にもよりますが、下請けのSIerなどですと、ハードな仕事の割にスキルが向上しなかったりしますので。
愛宕 そうですね、長時間労働になりがちですよね。ただ、IT系のCTOの中には、そういう環境をくぐり抜けてきた人も多いので、修行という意味では悪くはないのでしょうけど。
池田 ですね。自社サービスを持っているないしは比較的インターネット系の会社の方が周りの思考が技術的なので勧めるようにしています。
愛宕 ちなみに、副業で受け入れてくださる企業さんは自社サービスをやっていたり、自由な働き方を認めてくれる会社なので、ホワイトな職場になるのが良いところです。
池田 同じエンジニア社員と言っても色々ですよね。生き生きしている人はすごい生き生きしているし。
愛宕 とにかく仕事すればいいわけではなくて、できるできるだけ少ない仕事で良い結果の出る頑張り方はすごく大事なことじゃないかと思います。
池田 未経験の方だと、どこがどういう働き方かわからないじゃないですか。ブラックな企業の方が人数多くて魅力的に見えたりとか。
愛宕 業界構造などを知らないで飛び込むと大変になりますよね。
プログラミングは答えを探すものではなくて、作るものだ
愛宕 教育がどうあるべきか、という話なのですけれども、僕が好きな教育のあり方っていうのは吉田松陰なんです。なぜ学ぶのかが重要で、あとは自然とついてくる、という考え方です。鉄砲であるとか、船であるとか、西洋医学をなぜ学ぶ必要があるのか、という種をまくという。
池田 確かに、実際には教育だけでは完結しないことが多いですよね。就職・起業してから学ぶことが多いので、教育段階では芽にちょっとだけ水をあげてあげるだけですね。おっしゃっていた学び方を学ぶということは意識しています。
愛宕 プログラミングで言えば、調べ方とか、ドキュメントの見方が特殊かなと思うので、その部分が必要だと思います。
池田 そうですね、それに、受験と違うのは、答えが出ていない問題であるということ。トップエンジニアですら調べながらやっている、ということをわかっていただきたいですね。
愛宕 TwitterやFacebookなど、瞬間アクセス数が多くなったからこの技術が必要になるとか、突き詰めれば、答えは探すものではなくて作るものだ、という領域にまで達しますよね。
プロダクトオーナーや人事こそプログラミングを学ぶべき
愛宕 ところで受講生の方って最初から作りたいものがあるのでしょうか?
池田 実はそれはあまりなくて。一応プログラミング教育のサービスなので作ってもらわなきゃいけないのですけれど。ただ最近はGoogleなどが素晴らしいサービスを提供しているので、究極的にはオペレーションの手間を考えなければあまり作らなくて良い状況もありますよね。
愛宕 作らないものと作るものを決める仕事も重要ですよね。個人的にはプロダクトオーナーや人事こそプログラミングを学ぶ必要があると思います。
池田 作るっていうのがいかに面倒臭くて大変なものか、っていうのを知れますよね。最近そういう人も増えていますよ。
愛宕 自分が少しでもその分野のことをやったことのある人って、その分野で優秀な人を間違える可能性が下がると思います。プログラミングを学ぶことで、エンジニアの人とのコミュニケーションが円滑になるっていうのと、採用活動で間違えなくなるといったメリットがあると思います。
池田 皆さんがそういう意識を持っていただけるだけでもかなり前進だと思います。